「高齢者市場への取り組みの考察:社会的課題解決に向けて」というレポートが発表されています。
みずほ銀行産業調査部ライフケアチームが調査したもので、
高齢者ビジネスを考える上で興味深いレポートでしたので、簡単に紹介します。
このレポートの中で、メザニンシニアという言葉を初めて聞きましたが、
介護保険の認定を受ける高齢者が増える一方、
高齢者の大多数を占めるのがアクティブシニアと呼ばれる元気な高齢者で、
アクティブシニアの割合は高齢者全体のうちの83%と言われています。
そのなかでも、ハイリスクで今後介護認定を受ける可能性の高いグループをメザニンシニアとしています。
アクティブシニアのうち、30~40%がこのメザニンシニアに該当するといわれています。
いわゆる二次予防高齢者というものをより広くとらえたものと考えていいでしょう。
今後、このメザニンシニアの予防・生活支援といった需要が急速に高まることが予想されています。
おそらく介護保険の給付対象も軽度者の利用が制限されていく方向性にありますので、
介護保険外のマーケットを視野に入れることが重要になっていきそうです。
高齢者市場へアプローチする3要件として、
1.信頼感(親しみやすさ)
2.(拠点の)近さ
3.多様なサービス
をあげています。
一定のロイヤルティを獲得している事業者が〔信頼感(親しみやすさ)〕高齢者の日常生活内の接点〔(拠点の)近さ〕を活かして、各高齢者毎に異なる様々なニーズに対して適切な商品・サービス〔多様なサービス〕を提供する。これらの商品・サービスは、健康状態やライフスタイルの変化に合わせて、連続的かつシームレスに提供されることが望ましい
⇒これを『高齢化チェーン』と呼称
コーディネーターを配置して、いわゆる囲い込み戦略を行うということが、ここでの主張となっています。
介護保険サービスの場合、過度の囲い込みに対してはペナルティが発生するので敬遠する事業者も多いかと思いますが、
そこには、介護保険という枠組みでつながっているから、多職種・多業種の連携ができるという側面があります。
介護保険という共通の枠組みがない場合は、囲い込み戦略が利用者にとってもメリットが大きいものと思われます。