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医療広告ガイドラインとは
医療法の改正によるいわゆる「医療広告ガイドライン」が平成30年6月1日に施行されました。
本日1日から、医療機関のウェブサイトが「広告」とみなされ、規制されることになりました。「絶対安全な手術」「日本一」「最高の~」・・・。はたして許される表現は?厚労省に改善を求められた医療機関もあります。#広告 #医療安全 https://t.co/HvRU2F2Pm6
— 朝日新聞医療サイト「アピタル」 (@asahi_apital) 2018年6月1日
以前にもこのブログでこのようにお伝えしています。
ウェブサイトに問わず、医療機関の広告での誇大広告や虚偽広告を禁止するものです。
これに関してはガイドラインにかなり細かく記載されているので、一度目を通してみるといいかもしれません。
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告
等に関する指針(医療広告ガイドライン)等について
どんな広告が規制されているのか
このガイドラインではいくつか具体例なども挙げられているので、
そのうちのいくつかを紹介します。
加工・修正した術前術後の写真等の掲載
あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、
虚偽広告として取り扱うべきであること。
いわゆる「ビフォーアフター」写真の掲載は認められなくなりました。
ライザップが医療機関だったら一発でアウトでしょう。
皮膚科などの広告ではよく見られますよね。
やはりインパクトが強い写真などはよくビフォーアフターで紹介される素材になります。
介護サービス事業所でも、
訪問看護による皮膚処置でどのような改善効果が得られたか、
リハ特化型の通所サービス事業所での機能訓練の結果で歩行状態や姿勢がここまで改善しましたとか、
比較的よく見かけるのではないでしょうか。
訪問歯科診療や訪問マッサージのパンフレットなどでもこういったものはよく見かけますね。
暗示的又は間接的な表現の扱い
写真、イラスト、絵文字によるもの
病人が回復して元気になる姿のイラスト
効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。
つまり、
こんなイラストを医療機関のウェブサイトやチラシで使ったらアウトなんですよ。
ウェブサイトだけではないですよ、チラシとかパンフレットにも使っていないですか?
ちなみに、広告とみなされないものとして、
院内掲示や患者宛のニュースレターなどは広告とみなされないので、こういったイラストを使っても大丈夫です。
院内掲示、院内で配布するパンフレット等
院内掲示、院内で配布するパンフレット等はその情報の受け手が、既に受診している患者等に限定されるため、本指針第2の1に掲げた①及び②の要件のうち、①「患者の受診等を誘引する意図があること」(誘引性)を満たすものではなく、情報提供や広報と解される。
正直な話、
あまり誘因性を意識しないでもイメージとしてイラストや写真を使うことは多いと思います。
効果と直接結びつきかねない場所にポジティブイメージのイラストを使うのは
誤解を招きかねないということですね。
患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
省令第1条の9第1号に規定する「患者その他の者の主観又は伝聞に基づく体験談を広告をしてはならないこと」とは、医療機関が、治療等の内容又は効果に関して、
患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することを意味するものであるが、
こうした体験談については、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められないものであること。
これは、患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められない。
なお、個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、
広告に該当しないこと。
これが一番影響ありそうですが、いわゆる患者の体験談ですね。
医療機関が患者一個人の主観に基づく体験談を掲載することは誇大広告に該当するということです。
じゃあ、患者アンケートの結果などは完全な患者の主観の集合体なわけですが、
アンケートの結果を公表することに、誘因を目的とする意図が見られる場合は
おそらく医療機関の広告としては認められないでしょう。
品位を損ねる内容の広告
なかにはこんなものも医療広告ガイドラインに引っかかるようです。
医療に関する広告は、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならないものであることから、医療機関や医療の内容について品位を損ねる、あるいはそのおそれがある広告は行わないものとすること。
①費用を強調した広告
【具体例】
・今なら○円でキャンペーン実施中!
・「ただいまキャンペーンを実施中」
・「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」②提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引
提供される医療の内容とは直接関係のない情報を強調し、国民・患者を誤認させ、不当に国民・患者を誘引する内容については、広告は行わないものとすること。
【具体例】
・「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」
物品を贈呈する旨等を誇張することは、提供される医療の内容とは直接関係のない事項として取り扱うべきであること。③ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告
「ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告」って、すごい書き方ですけど、
SNSでバズってもらうことを目的に面白いことをやろう、
という医療機関はこのガイドラインに引っかかる可能性があるということですよね。
これに関しては具体例もなく非常に抽象的でわかりにくいのですが。
と、かなり多岐にわたっていますが、
明らかな悪意や誘因性を狙っていなくても、
誤解を与えかねない表現は医療広告の規制対象になるということは覚えておいた方がよさそうです。
違反サイトを見かけたら・・・
違反サイトを見かけることもあるかもしれません。
あきらかに間違った治療法や矛盾のある内容を掲載しているサイトも数多くあります。
そんな時には、以下のサイトからフォームに入力することができます。
残念ながら、いまだにSEO上ではでたらめな医療情報を掲載してでも
グーグルの検索上位に表示されているという現象が残っています。
いわゆるWELQ問題でかなり騒がれたものの、
低品質サイト・虚偽情報のサイトを排除することはできていないという印象です。
悪質なサイトに関してはこのネットパトロールから通報することも一つの方法かもしれません。
悪質・低品質なサイトの基準については、
今回の誇大広告の規制と、グーグルが考えているSEO上の基準と必ずマッチしているわけではありません。
なので、誇大広告をやめたからといってグーグルでの検索の順位が上昇するということはおそらくありません。
場合によってはコンテンツを削減することで検索順位を落とす場合もあると思います。
ただ、今回のガイドラインについては改善命令だけではなく、罰則が下りる可能性もあるものです。
ガイドラインを確認しながら、誇大広告に該当するものがないかを必ず確認する必要があります。
また、それと同時に自分の事業所のウェブサイトが
誇大広告に該当するものでないか、今一度見直してみることも必要ではないでしょうか。