介護事業者がホームページ開設の際に使える助成金「小規模事業者持続化補助金」

小規模事業者持続化補助金

介護事業者、ホームページを持たない理由は

介護士と高齢者 屋外

介護サービス事業者の中には「ホームページがない」というところもいまだに少なくありません。

事業者が事業者を対象に営業活動するBtoBのビジネスならばともかく、広く一般の顧客にサービス提供を行うBtoCビジネスであるにも関わらず、いまだにホームページを持たない事業者が多いのです。

広報に力を入れていないのは、ケアマネジャーや地域包括、医療機関との付き合いからの依頼が中心になるため、BtoB戦略の営業に特化し、一般向けに広く広報を行うという意識が不足しているという業界事情もあるのでしょう。

ただ、それ以上に、介護事業者は小規模事業者が多く、開設・運営にかかるコストへの不安も大きいと思います。

そこで、助成金を活用してコストを削減、ホームページを開設するという方法があります。

今回は「小規模事業者持続化補助金」の制度を活用してホームページ開設する方法を紹介します。

小規模事業者持続化補助金とは何か

まず、小規模事業者持続化補助金について解説します。

小規模事業者持続化補助金のホームページにはこのように記載しています。

小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助いたします。

小規模事業者持続化補助金ホームページ

小規模事業者持続化補助金は日本商工会議所全国商工会連合会が行っている小規模事業者のための支援メニューのひとつです。

令和元年度に小規模事業者を支援するため、補正予算として生まれました。

小規模事業者持続化補助金には<一般型>と<コロナ特別対応型>があります。

現時点ではコロナ特別対応型は募集を終了していますので、一般型での応募となります。

補助金の金額は?

ホームページ制作の様子

一般型での申請が認められれば、かかった費用の2/3を補助金として受け取ることができます。

補助金の上限は50万円となっています。

つまり、30万円でホームページを作成した場合、20万円が補助金となり、10万円が事業者負担となります。

75万円でホームページを作成すれば、上限マックスの50万円を補助金として受け取り、25万円が事業者負担となります。

それ以上の、上限を超える金額であれば、オーバー分は全額事業者負担という形になります。

補助金額費用の2/3
補助金上限額50万円

いずれにしても、費用を1/3に抑えることができるというのは大きいですね。

ちなみに。
ウェルコネクトでホームページ制作を行う場合は、よほどのことがない限り、というかよほどのことがあっても上限金額75万円(補助金上限50万円)まで届くことはないと思っていいです。

なので、純粋に初期費用が1/3になるというイメージでとらえていただければと思います。

対象となる事業者

補助金の対象となる事業者として該当するか。ポイントとしては小規模事業者に該当するかどうかです。

小規模事業者の定義は以下のように定められています。

 業種人数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)常時使用する従業員の数 5人以下
 サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数 20人以下
 製造業その他常時使用する従業員の数 20人以下

サービス業の場合は、従業員5人以下っていうことは従業員が6人いたら申請できないの?

・・・ということはありません。

この常時使用する従業員にはパートやアルバイトなどの従業員は含まれません。

公募要領にはこのように記載されています。

本事業では、以下の方は「常時使用する従業員数」に含めないものとします。

(a).会社役員(ただし、従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含まれます。)

(b).個人事業主本人および同居の親族従業員

(c).(申請時点で)育児休業中・介護休業中・傷病休業中または休職中の社員

*法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者

(d).以下のいずれかの条件に該当する、パートタイム労働者等

(d-1).日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて雇用される者、または季節的業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者
(ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用されている者は「常時使用する従業員」に含まれます。)
(d-2).所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の従業員(※1)」の所定労働時間に比べて短い者

公募要領より

小規模事業者として対象になるか、商工会議所にまずは相談することをおすすめします。

補助対象となる取り組み事例

では、どのような経費が認められるかということなんですが、具体的に事例を掲載していますので紹介します。

《補助対象となり得る取組事例》

(1)地道な販路開拓等(生産性向上)の取組について

  • 新商品を陳列するための棚の購入 ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たな販促用チラシの作成、送付 ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告) ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促品の調達、配布 ・・・ 【②広報費】
  • ネット販売システムの構築 ・・・ 【②広報費】
  • 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加 ・・・ 【③展示会出展費】
  • ・新商品の開発 ・・・ 【⑤開発費】
  • 新商品の開発にあたって必要な図書の購入 ・・・ 【⑥資料購入費】
  • 新たな販促用チラシのポスティング ・・・ 【⑦雑役務費】等
  • ・国内外での商品PRイベント会場借上 ・・・ 【⑧借料】
  • ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言 ・・・ 【⑨専門家謝金】
  • 新商品開発に伴う成分分析の依頼 ・・・ 【⑫委託費】
  • 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。) ・・・ 【⑬外注費】
     ※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可。

(2)業務効率化(生産性向上)の取組について

【「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ】

  • 業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減 ・・・ 【⑨専門家謝金】
  • 従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装・・・ 【⑬外注費】

【「IT利活用」の取組事例イメージ】

  • 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する・・・ 【①機械装置等費】
公募要領より

かなりメニューの数が多いのですが、その中の広報費として、ウェブサイト制作にかかる費用が認められています

ただし、認められるのはあくまで制作費なので、更新作業費やサーバー料金などのランニングコストをこれに含めることはできません。このあたりは注意が必要ですね。

小規模事業差が多い介護分野にとってはとても使いやすい補助金だと思います。

小規模事業者持続化補助金の募集期間は

さて、この小規模事業者持続化補助金についてですが、募集期間が定められています

現在は第6回の募集が行われており、応募締め切りは10月1日金曜日となっています。

年3回の募集があり、締め切りは2月初旬・6月上旬・10月上旬となっています。

申請の流れについては以下のフロー図のようになっていますのでご参照ください。

申請が通るためのポイントは

この小規模事業者持続化補助金、申請したら絶対に通るというわけではありません。

採択率は最初は90%を超えていたのですが、回を追うごとに採択率は下がっています。

一般型4回目は、申請者数16,124件、採択数7,128件。採択率44.2%となりました。

一発で採択されたいという人は行政書士さんなどの士業の方にお願いするのもありだとは思いますが、フォーマットの通りに記載・提出すればできない仕事ではないと思います。

採択されるための大事なポイントは「販路開拓」・「業務効率化」につながるか、という視点です。

補助金なので、「ホームページを作りたいから」で通るわけではありません。

ホームページを通して、どのように販路開拓につながるか、業務効率化につながるかがポイントです。

ホームページを通した戦略構想

介護サービス事業者がホームページ制作のために小規模事業者持続化補助金を申請するとしたら、具体的には以下のような内容を書くといいでしょう。


【小規模事業者持続化補助金申請のための具体例】

・ホームページにより24時間365日事業所の情報やサービスの提供情報を公開することができる。

・ホームページにお問い合わせフォームを設置することで地域住民からの相談や依頼にも対応することができる。

・保険外サービスの提供事例などを紹介することで保険サービス以外の販路を拡大することができる。

・電話対応中心の相談受付からホームページを通しての対応を行うことで業務の効率化を図る。

・採用情報を常にタイムリーに発信し、随時職員採用が可能になる。

・ホームページと並行してSNSを活用し、職員採用の入り口を広げ、事業を拡大していく。

・広報誌をホームページに掲載することで紙媒体での印刷・配布などを行わずにサービスの情報を開示できる。

・個人情報保護方針や介護職員処遇改善取り組み状況などを開示、周知できる。


など、ホームページによる具体的なメリットを掲載していくことが望ましいでしょう。

「ブランディング」とか「イメージアップ」とか、抽象的な内容ではなく、具体的にしていくことが大事ですね。

まずは相談を

まずは管轄地域の商工会議所に相談することが一番です。

ウェブ申請などもできますが、書類の作り方などを確認することもできますので、積極的に活用していきましょう。

私たちウェルコネクトでも補助金対象のホームページ制作を行う機会もありますので、スケジュールや予算なども含め、ご質問あればお問い合わせフォーム通してご連絡ください。

補助金対象にならないランニングコストを抑えつつ、補助金を最大限活用できるプランなどについても相談承ります。

ホームページを通して職員の確保・利用者数の増加・業務効率化を考えている介護事業者の皆様、ぜひご相談ください。

追記:小規模事業者持続化補助金、9回目以降も現在募集中

小規模事業者持続化補助金は現在も継続して募集しております。ホームページも見やすくなりましたね。

採択率ですが、第4回目の44.2%が最も低く、それ以降は回復傾向です。

それ以降は50%を下回ることなく、第6回は69.1%、第7回は69.8%でした。

ほぼ7割がた通るようになっています。

当然、経済的に苦境にある小規模事業者が多いこともあるのですが、書類の作り方のポイントなどを申請者が学習して提出するようになったということなのかもしれないですね。

介護事業者がホームページ開設の際に使える助成金「小規模事業者持続化補助金」” への2件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

six + 19 =