人がいない、応募がない、採用ができない。
毎日、そんな愚痴を言っていませんか。
求人情報を出して、ただただ待っているだけで採用ができる時代ではありません。
だから、採用に関しては自分たちから積極的に動くことが必要です。
でも、採用したくてもお金もないし、余裕もないし。SNSが得意なスタッフも、動画を作れるスタッフもいない。どうしたらいいの?
と、悩んでいる介護事業者の皆様。まずやってほしいのが介護職員インタビューです。
この記事では介護職員や看護師など、職員インタビューの意味と作り方・ポイントを徹底解説していきます。
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介護人材不足の危機的状況を認識
まず、人材が獲得できない現状について、その背景を認識することが重要です。
有効求人倍率は14.4倍!?
以下のデータは第242回社会保障審議会介護給付費分科会(2024年9月12日開催)で提出された介護職員・訪問介護員の有効求人倍率です。
見ての通り、訪問介護職の有効求人倍率は右肩上がりで上がり続けています。ここ数年も横ばいで現在の有効求人倍率は14.4倍。訪問介護の仕事をしたいという一人の人を採用するために14.4事業所がそのひとりを奪い合い、残る13.4事業所は涙を飲むのです。
なんて人材不足なんでしょう。
施設の介護職員も、処遇改善を進めて、若干の低下を認めるものの、現在も有効求人倍率3.24倍。
全業種平均が1.2~1.3倍程度ですので、それに比べれば介護業界全般で圧倒的に人手不足であることに変わりありません。
採用に強い事業所、弱肉強食時代
もちろん有効求人倍率の問題もあります。また、採用を難しくしている背景として、採用に強い事業者が台頭していることです。
大手介護事業者はその豊富なリソースをフルに活用し、ウェブ広告や自社コンテンツなどを大量にリリース。リーチを広げて採用につなげています。介護報酬改定も含めて、どんどん大手事業者が有利になる仕組みになっているのが現在の介護業界。
潤沢にある資金や人的リソースでブッ叩きにくる大手介護事業者には人が集まります。大手事業者の安心感や充実した待遇や福利厚生も大きなメリットになります。
小規模の事業者でも採用に強い事業者も多いです。SNSを活用して、認知を拡大する事業者も多いです。
「そうか、SNSで採用できるのか」と考えるのは正直甘いです。アカウント(チャンネル)が育ち、認知が広がるまでには時間も労力もかかります。さらに、SNSを閲覧する人の評価は非情で、興味をひかないコンテンツは一瞬でスワイプされてしまいます。ストック型ではなくフローコンテンツで、賞味期限が極めて短いSNS。手応えをつかむ前にハートが折れてしまいます。
確かな戦略と有能な人材、さらにやり続ける信念を持っている事業者であれば成功するのですが、これがなかなかハードルが高い。チャンネル登録者数やフォロワーが増えないことで挫折する事業者は跡を絶ちません。
採用に関しては、まさに弱肉強食という様相を呈しています。採用できなければ、高額な手数料を支払ってでも人材紹介に頼るしかないのか?
では、「持たざる者」が採用を強化していくためにはどうすればいいのか。
職員インタビュー・先輩インタビューの持つ効果
看護師・介護職員インタビューとは?
採用を強化したい事業者のみなさんが、まず取り組むべきコンテンツは何か。それは職員インタビュー・先輩インタビューです。
採用したい職種と同じ業務をしている職員をピックアップし、インタビュー形式で質問し、コメントをしてもらいます。それを文字起こしして、ホームページに掲載します。顔を出した方がもちろん効果的ですが、顔を出すことに抵抗がある場合は、イメージ画像やイラストでも効果があります。
SNSと違って、ホームページに掲載するコンテンツはフロー(流れていく)ではなく、ストック(蓄積される)コンテンツになるため、継続的に検索流入やページ内のリンクをたどってのアクセスが期待できます。時代が変わっても、「枯れないコンテンツ」として価値を持ち続けます。
求職者目線で見る、職員インタビューの価値
一般の介護職のインタビューでしょ。インフルエンサーでも有名人でもない人のインタビューで、そんなに価値があるの?
価値があるんです。求職中の人には。
介護の仕事を探している人にとっては、先輩職員の生の声はとても価値がある情報です。求職者にとっては、ホームページやパンフレットに並べられたきれいに飾られた言葉よりも、等身大の職員の声の方が、よりリアリティを感じられる情報なのです。
どんな人が働いているのか、どんな職場なのか、自分が働いたらどんな仕事が出来るのだろうと考えることができます。その職場で働くイメージを抱かせることができれば、問い合わせや見学というアクションにつながりやすくなります。
求職者目線を意識してインタビューのページを作成することで、採用という大きな結果につながります。
職員インタビューの作り方
職員インタビューだったら、うちにもできそう!でも、どうやって作るの?と疑問に思っている方に、職員インタビューの作り方を解説します。
職員インタビューを作る手順
職員インタビューを作る手順について解説します。
- 対象職員のピックアップ
インタビューに協力してもらう職員をピックアップします。募集職種と同じ職種の職員を対象にします。職員募集を強化するために協力してほしいことを伝えましょう。協力してもらうのであれば、ささやかながらインセンティブとして何かお土産を用意してもいいかもしれません。 - インタビューの質問内容を考える
どんな流れで、何を質問するか、何問質問するか、などインタビューの構成を考えます。事業所の特色などによって質問内容は自由でもいいと思います。ただ、入れた方がいいと思うのは3つです。
「この職場で働くことになったきっかけ」:その人の採用までのストーリーを知ることで、その後のインタビューに感情移入しやすくなる。
「この職場のいいところ」:伝えたいポイント。こればかりは「ない」で終わらないように、事前に考えてきてもらってでもひとつは出してもらいたい。ただ、答えを管理側が用意するとつまらないインタビューになるし、インタビューされる側のテンションも落ちてしまいます。
「就職を検討している(迷っている)方へのメッセージ」:仲間意識を感じてもらうためにとても効果的な一押しになるので、インタビューの最後はこの質問で締めることをお勧めします。 - インタビューを行う
職員へのインタビューを行います。できるだけリラックスした雰囲気でできるように環境にも配慮しましょう。急に施設長室でインタビュー、となるとさすがに緊張するので、適度にリラックスできてなおかつプライバシーに配慮できる空間がいいでしょう。会話に集中できるように、ボイスレコーダーで録音するか、zoomなどでレコーディングしておくといいでしょう。 - インタビュー内容を文字起こしする
インタビュー内容をテキストに起こしていきます。雰囲気を伝えるのも大事ですが、文章がだらだらと冗長化していかないように、スパッと切るところは簡潔にし、店舗のいい文章にしていくといいでしょう。zoomでレコーディングしていれば、それをテキスト化することもできますが、文章をクリアにしていく作業は忘れずに。 - ホームページに掲載する
業者に依頼する場合が多いと思いますが、インタビューの内容をホームページに掲載します。太字など強調してほしい部分などがあれば指定しましょう。アップロードする前に、一度必ずインタビューを受けた本人も含め確認するようにしましょう。
職員インタビューの作り方を解説しました。でも、もっと簡単な方法もあります。
アンケートフォームを使う
質問項目を埋め込んだアンケートフォームを使って、対象の職員に入力してもらうという方法もあります。
実際に対面するのと比べて、文章はちょっと硬くなってしまうかもしれませんが、時間を選ばずに、どこからでも送信できることを考えれば、職員の負担感は少なくなります。
Googleフォームに質問項目を設定して、対象職員にリンクを送付すればそれで準備完了です。
また、テキストで送ってくれるので、文字起こしする必要はありません。あとは多少のチェックと手直しなどをすればインタビュー記事の原稿が出来上がります。
文章に起こすときには、どうしてもブツ切れの文章のようになりやすいので、話の流れを大事に、順番などを入れ替えたり、文章と文章の間の接続詞などを加え、生きた文章にする工夫も必要です。
難しいと思ったら、ChatGPTに文章を丸ごと放り込んで、「見出しに分けて、読みやすさを意識したテンポの良い文章になるようにきれいにまとめて」とお願いするといいですよ。
私たち、介護福祉ウェブ制作ウェルコネクトでも職員インタビューの原稿をお願いするときに、グーグルフォームを使用し、こちらで加工してインタビューに起こすこともあります。
職員インタビューのポイント
職員インタビューの作り方が分かったところで、今度は注意すべきポイントについて解説します。
ポイントとして強調したいのは以下の3点です。
- インタビューする職員の選び方
- いい情報だけじゃなく、ネガティブ情報を混ぜる
- インタビュー記事へのリンク動線を確保する
では、ひとつずつポイントを解説していきます。
インタビューする職員の選び方
インタビュー対象の職員をどうやって選ぶか。これが一番の肝と言っても過言ではありません。
おそらく最初に頭に思い浮かぶのは、こんな人ではないでしょうか。
- いつも無理なお願いも聞いてくれる協力的な人
- チームの中心的存在として存在感のある人
- これからの活躍を期待している人
もちろん、これらの人は事業所にとっても重要な存在で、欠かすことはできません。でも、大事なのはどんな人を採用したいのかです。
今は未経験者に来られても困るな~、っていうときには、やっぱり経験者を採用したいですよね。
であれば、未経験から採用・教育した職員のインタビューをするよりも、経験者が転職して現在の職場でさらに成長・キャリア形成しているストーリーの方がターゲットの心に刺さるのではないでしょうか。
子育て中の方でも歓迎、であれば、同じように子育てをしながら仕事を続けている方のインタビューを行い、職場が子育てとの両立をどうサポートしているか、子育てとの両立のためにしていることなどを話してもらう方が共感できるのではないでしょうか。
なので、まずはメインターゲットを決めることが大事です。マーケティングでは「ペルソナ」と呼ばれるターゲット人物像をイメージします。そして募集職種の中で、その状況に最も近い職員を選出することをお勧めします。
能力や話のうまさ、性格、人望などではなく、その人の状況を判断して決めましょう。
いい情報だけじゃなく、ネガティブ情報を混ぜる
実はこれがとても重要なのですが、ネガティブ情報を混ぜることです。
インタビューといっても、すべてが職場を称賛する内容だったらどうでしょう。ちょっと疑いたくなりますし、かえって心配になってしまうのが人間というものではないでしょうか。
なので、ネガティブな情報も一部混ぜるといいでしょう。致命的なネガティブ情報はもちろんだめです。人間関係の悪さなどはかなりマイナス情報になってしまうので、裂けた方がいいです。なので、ネガティブだったら何でもいいというわけではないですが、いい面があればその裏返しで悪い面も、という見方もあります。
「静かな環境」と言えば聞こえはいいですが、その反面「交通の便が悪い」とも言えます。
質問項目で「この職場のちょっと残念な部分は」と聞いてみるのがいいでしょう。
インタビュー記事へのリンク動線を確保する
これはテクニカルな話になってしまいますが、ブログの位置記事として残すだけでなく、必ず採用情報ページの募集要項などから見える場所にリンクを配置しておきましょう。ブログ記事にインタビューを残すだけでは、採用を検討している人に見てもらえません。
採用情報のページをアクセスしている人が容易にアクセスできるような動線を確保しておきましょう。
また、記事を読んだ人がすぐに採用の問い合わせフォームにたどり着けるような動線も用意しておきましょう。求職者がどういう導線をたどるか、イメージしてリンクを配置しておくことをお勧めします。
まとめ
インタビュー記事の作り方を解説しました。
求職者の心に「刺さる」インタビュー記事を作るためには、戦略を練ることが大事です。どんな人を採用したいのか、その人は何に興味があるのか、その人が欲しい情報は何か、その人はどんなことに生きがいを感じているのか。
ペルソナに近い人に聞いてみるのもいいですし、ChatGPTにペルソナを作ってもらうのもいいと思います。
丁寧に戦略を立てて作られた職員インタビューは事業所のホームページに価値を生むだけでなく、事業所・法人の大きな財産になるものです。
人を呼ぶ効果もありますが、迷っている人を後押しする効果は非常に大きいコンテンツです。すぐに取り組めることですので、ぜひ取り入れてみましょう。