令和一発目の記事を挙げようとしてこんなマニアックできっと需要もない話なんですが。
長男がやっているので見る機会も多くなったフットサル。
どうしても納得のいかないルールがあるのでそんなことをちょっと呟こうと。
この記事のコンテンツ
フットサル競技規則改正で生まれたハーフ越えルール
2010年3月29日に15歳以下のフットサル競技規則にこのような変更がありました。
(財)日本サッカー協会の決定 日本サッカー協会などが行う15歳以下のフットサル競技会においては、次の規則を適用する。 ゴールキーパーが手で投げた後、または足でけった後、ボールが競技者に触れるかプレーされる、あるいはピッチ面に触れる前にハーフウェーラインを越えたときは、相手側チームに間接フリーキックを与える。 間接フリーキックは、ハーフウェーライン上の任意の地点から行われる。
15歳以下のフットサル競技会における競技規則の適用について
つまり、ゴレイロ(ゴールキーパー)からのボールは投げたものであれ蹴ったものであれ、ノーバウンドでハーフラインをまたいじゃいけない、というルールです。
ハーフ越えルールとか、ハンブン、とかって言われるルールです。
なんでこんなルールができたのかというと、その経緯も書いてあります。
2003年6月6日付け「第3種以下の競技会におけるフットサル競技規則の適用について(別添1)」により、“ゴールキーパーから、ハーフウェーラインを越えて手で投げて、味方競技者にボールをフィードすること”を禁止した。 しかしながら、全日本少年フットサル大会等では、手で投げずとも、ゴールキーパーがボールを相手ハーフ内にけり入れることによって、同様の状況が発生し、フットサルにはほど遠いプレーが散見された。 ついては、15歳以下の年代における更なるフットサルの技術向上を目的として、下記のとおり、手のみならずゴールキーパーからのハーフウェーラインをノーバウンドで越えるようなキックも認めないこととする。
15歳以下のフットサル競技会における競技規則の適用について
それまでもボールがゴール前からゴール前へと空中をさまよい、ゴール前で肉弾戦を行うという不思議な競技が繰り広げられていたわけです。
それを改正するために、ゴールキーパーから投げてハーフライン超えちゃだめよと、2003年にルール改正したようですが、今度はパントキックしたりするわけですよ。結局。
それで、2010年にはゴールキーパーからのボールはノーバウンドでハーフ超えちゃだめよと。
まあフットサルボールはローバウンドボールなので、ゴールキーパーはハーフラインを宙でまたがせちゃダメなわけです。
その結果どうなったか。
キーパーは自陣でボールを持ってもパスの選択肢がコートの半分に制限されるわけです。
さらに一度パスを出したらキーパーはボールに触れることはできないし、ポジション柄、当然奪われたら大ピンチでしかないわけです。
ゴロでパスを出そうにもちょっとでも浮けば「ハーフ!ハーフ!」と相手チームからの怒号。
そりゃゴールキーパーは攻撃に関わらなくなりますよ。
息子がハーフ越えルールで3回笛を吹かれたその内訳・・・
長男が先週フットサルの大会に出て、なんと、1試合で3回ハーフ越えルールを取られました。
一回は攻撃参加をしてミドルを撃ったのがハーフラインちょっと手前と判断されて、
次は裏に抜けた相手にエリアを飛び出してクリアしたらボールがハーフラインを宙で越えて、
それから攻撃参加して相手がプレスに来たところでサイドにはたいたらボールがわずかに浮いてハーフラインをまたいで・・・。
全部間接フリーキックと。
アホじゃないか。いや、息子もたいがいアホなことは間違いないのですが、それ以上にルール自体がアホだ。
すでにルールのためのルールでしかない。
試合はボールを徹底して持たない戦術を選んだ相手チームが勝利。ボールを持ったら可能性のないロングシュートでも、まずはボールポゼッションを放棄し相手陣内で相手ボールにして前プレスをかける。もしくは裏に山なりのループのボールを落として前の二人で攻め切るという分業。前の二人はボールを収めて点を決める。後ろの二人は守ってロビングボールを前の二人に落とす。無駄がない。うん、確かに無駄がない。
それで、どうなった?育成年代のフットサル。
それで結局どうなったかというと、結局はフィールドプレイヤーが蹴るわけですよ。ロングボールを。
全国大会であるバーモントカップを観ればわかります。これが日本のフットサルの育成です。
体格とスピードに勝る者、危険な場所でボールを失わない者、チャンスを決めきる力がある者、戦いきるタフさが求められる真剣勝負。
そして、やっぱりボールは空中を飛び交う。
そこにインテリジェンスが入り込む余地はない。
勝利至上主義の弊害とかいうけれど、みんな勝ちたいんだから目の前の勝利を目指すのは何も悪いことではない。
でも、フットサルの面白さというのが、狭いスペースの中での個人対個人の局面ばかりクローズアップされてしまい、それがサッカーにも活きるという、なんかサッカー上達のために個人技を磨くためのフットサルみたいな、要は連動であったりスペースの攻略であったり崩しであったりというフットサルの面白さが失われているんじゃないかと。
ハーフ越えルールの改正を
とりあえず、最優先に考えていただきたいのはゴレイロのハーフ越えルール改正です。
たとえば、ぺナの外に出たらゴレイロはハーフ越えルールの適用外にするとか、相手ゴールに向かっていないボールがノーバウンドでハーフラインを越えても笛を吹かないとか、何らかのルール改正はすべきだと思うんですよね、いい加減。
世界ではゴールキーパーの足元の技術はますます進化していますし、引きこもりゴールキーパーを量産するためだけのルールにしかならないですよね。
テアシュテーゲンやエデルソンやケパのような選手がいずれはスタンダードになることを見越して育成を考えなければいけないし、そのためにルールを見直すことも必要だと思います。
ルールはルールで仕方ないという話ですが、結局、ボールが宙を舞うスポーツになってしまった少年フットサルいや、競技バーモント。日本のフットボーラー育成はいかにあるべきか。
そんなことを考えながらゴールデンウイークが終わってしまったわけでして・・・。
その後、ハーフライン越えルールはどうなったのか?(追記)
2022年になりました。その後、どうなったかというと、何も変わっていません。
ただ、下から丁寧につなごうというチームは増えてきた印象もあります。これはJ下部も含めて。
でも、JFAの内山慶太郎ゴレイロコーチをはじめ、問題意識を持っている指導者もたくさんいて、いろいろルール改正のためのテストなども行っているようです。
日本でゴレイロ育成が進み、世界を舞台に活躍できる選手が生まれることを願っています。