採用情報のキャッチコピー「アットホームな職場です」がダメな理由

その採用キャッチコピーがダメな理由

介護人材不足の解決策、ホームページの価値は変わらない

さらに深刻化する介護人材不足

このブログを読んでいる方は今の介護業界の人材不足なんて説明するまでもなく知っていると思いますが、重ねて説明すると、本当に深刻なんです。

先日公表された介護労働実態調査のデータですが、従業員の過不足状況を見ると、いまだに不足状況は高止まりしていることがわかります。特に訪問介護員は81.4%が従業員不足という深刻な状況が見て取れます。

介護労働実態調査の介護職員の不足状況

介護業界に人が集まるようにしたいですが、事業所に入る介護報酬が限られている中、従業員に支払う給与にも限度があります。どんなに業務を効率化しようとも、収入のアッパーに限界があれば、待遇の改善も進まず、人を集めることには限度があります。

SNSや動画の台頭でホームページや採用サイトの価値は下がる?

これを見ている介護事業所の管理者や運営法人様は様々な工夫をして採用を行っているかと思います。

SNS担当者

かつては限られた事業所しか取り組んでいなかったSNSも、いまや採用の主流ツールの一つとなりつつあります。

SNS、動画、WEB広告。いろいろ発信していると思いますが、採用においてホームページの価値が下がることはありません

待遇や業務内容など、求職者は具体的な情報はホームページを通して収集します

いわゆるAIDMAの法則で言う、認知や興味関心のフィールドをSNSで活用し、アクションに繋がるまでの重要な部分をホームページが占めていると考えましょう。

AIDMAの法則

なので、ホームページ上の採用情報、求人情報は、載せっぱなしではなく、しっかり精査、見直しすることをおすすめします。

特に、見出しとなるキャッチコピー・キャッチフレーズは重要です。ユーザーの目につくというだけでなく、検索エンジンも見出し部分としてキャッチコピーに含まれるキーワードを高く評価します。キャッチコピーによって、ページへのアクセス数も大きく異なるのです。

キャッチコピーに使われる、「アットホームな職場」ってなに?

人間関係の良さが求められる介護の職場

よく介護系の事業者の求人情報で見かけるのは

介護職員の人間関係の良さ

アットホームな職場です。

という謳い文句。

これ、すごい多いと思います。

いや、別にアットホームな雰囲気な職場であることはいいと思うんです。職員間の人間関係が良好であることは重要な要素です。

実際、介護職員の離職理由で最も多いのは人間関係だという調査結果があります。こちらも令和5年度版介護労働実態調査の結果を引用すると、介護職員の前職の退職理由として最も多いのは「職場の人間関係に問題があったため」が常にトップを独走しており、2023年度の調査では大幅にその割合を増やし、34.3%に到達していることもわかります。

34.3%が職場の人間関係が理由で退職している

それと反対に、介護職員の離職率が低下した理由についての調査では職場の人間関係がよくなったことを挙げるのが63.6%。職場内の人間関係がよくなれば、確実に離職率が下がることがわかります。

離職率低下の要因、最も大きいのは職場内の人間関係の改善

職場内のコミュニケーションを重視する方が多く、そこにやりがいや喜びを感じる方が多いのだと思います。

人間関係がいいことを、アットホームな職場ですと表現しているのだと思います。人間関係の良さは採用する際のアピールになると同時に、採用後の離職率を下げる効果としても非常に価値の高い要素です。

それでも、採用情報のキャッチコピーとしてアットホームな職場ですとアピールすることはお勧めしません

人間関係の良さを証明する。採用に効くキーワードは

アットホーム、と言いながら離職率の高い職場も

つまりは、誰が言うか、ということが大事です。採用する側が自分で言うの?ということです。

採用する側が話す、「うちはアットホームな職場です」という言葉、本当に信用できるのか。本当に人間関係が原因で離職する人はいないのか、人間関係でトラブルがあったことはないのか。

なんの違和感もなく見ている方もいると思いますが、このアットホームな職場という根拠はどこにあると言われても、それを証明することはできません。アットホームな職場と言いながら、離職率が高い状況であれば、そこに大きな問題が絶対にあるはずです。

実際にアットホームだったとしても、それが原因で人間関係を崩している場合もあります。上司がプライベートに口を出すことや、私生活上のトラブルが職場に持ち込まれる、家族経営であるがゆえにあからさまな身内びいきがあるなど、アットホームが行き過ぎるとそれも大きな問題の原因となります。

目に見えないものではなく、根拠のあるアピールポイントを

求職する側も、「アットホーム」という言葉で職場を探すことはありません。重要な見出し部分にアットホームな職場を持ってくるのはあまりおすすめしません。

数字で証明できる根拠を示すことが一番です。離職率の低さ、定着率、採用実績などが一番わかりやすいでしょう。

それ以外にも、目に見えるものとしては、資格取得などのキャリアアップ施策、昇給実績、有給消化率、事業拡大など、目に見えて、イメージしやすい内容をアピールしていくことをおすすめします。ターゲットが明確になっているようであれば、職員の平均年齢や子育て中の職員の多さ、育休取得実績なども重要なポイントになります。

例えば、グーグルのキーワードプランナーを使うと、どのような言葉で求人情報を検索しているのかを知ることができます。少なくとも、「介護 採用 アットホーム」で検索する人は極めて少ないです。

自分たちの事業所の強みをアピールしつつ、採用につながるメッセージを発信しましょう。それが採用に効くメッセージになるのです。

アットホームが効くパターン

でも、アットホームな職場、というワードが刺さるパターンもあります。

それは、先輩職員からのメッセージや先輩インタビューです。

できるだけ役職者ではなく、まだ勤続歴の短い職員が自分から話していたとしたら、どうでしょう。実際にそこで働いている人からのリアルな声です。ものすごい説得力を持ちます。

先輩インタビューを読むときには、「自分がここで働いたらどうだろう」と自分を少なからず投影してみるものです。そこでアットホームであるという印象が出てくるのであれば、リアリティを持って、アットホームという言葉をそのままの意味で受け取ることができるでしょう。

このように話す人によって、受け取り側の感じ方は大きく異なります。

もちろん、インタビューで話す内容を操作したりするのは倫理的によろしくありませんが、職歴の浅い職員に登場してもらって、職場の雰囲気などを聞いてみるのは効果的です。

このように、「アットホーム」が求職者に刺さるパターンもありますので、誰が何を話すのか。どこで何を伝えるか。ということは意識しながら求人情報を作成することをお勧めします。

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