【GビズIDとは?】介護事業者は登録必須。介護サービス情報公表に必要な登録手順解説

GビズIDとは?介護サービス情報公表に義務付けられた認証システム

介護サービス情報公表制度で義務付けられたGビズIDアカウント登録

介護サービス事業所に求められる経営状況の報告

介護サービス情報公表制度が変わります。

2024年の介護保険制度改定を機に、介護サービス情報公表制度では介護事業者の経営情報の公表も義務付けられました

財務諸表などの情報公表が義務化されたのです。

経営状況の見える化によって、利用者が選択できるようになると言っていますが、果たしてどうでしょうか。

経営状況の見える化 厚生労働省のイメージ図

厚生労働省ホームページより

介護サービス事業所は経営状況を厚生労働省のデータベース(介護事業財務情報データベースシステム:仮称)にアップロードし、それを都道府県が確認。調査や分析を行い、厚生労働省に報告。これをサービス情報公表システムを使って国民に公表する。

という仕組みらしいです。

利用者は介護サービス事業者の経営状況を知ることができ、より適切なサービス事業所の選択につながる。

ふーん。

本当に利用者が求めている情報なのか?

率直な感想として言われていただくと、その情報を必要としているご利用者さんやご家族って、本当にいます?

ケアマネとして現場で働いてきた経験もかなり長いのですが、「経営状態が健全な事業所にお願いしたいです」って言われたこと、一度もないです。あります?

  • バランスシートから財務バランスの取れた事業所にお願いしたいです
  • 自己資本の大きい事業者にお願いしたいです
  • 経常利益が大きい事業者にお願いしたいです
  • 健全経営ができている事業者にお願いしたいです

ご利用者さんやご家族から言われたことのあるケアマネさん、いますか?

なくないですか?

つぶれそうにないところとか言うのは言われたりすることはまあ、ないことはない、っていうことはあるけれど。ぶっちゃけ、そんなのわからなくないですか?在宅介護大手法人の事業所だって事業所の統廃合でなくなることもあるし、事業拡大していても職員の大量離職で事業所締めることだってあるし。

ご利用者さんがこの情報を閲覧できるようになったからといって正しく分析できるかどうかなんて難しいし、ケアマネに経営状況分析しろと言われても、それは無理。

誰のための経営状況の公表か

結局、この経営状況の公表で得をするのは誰か。

1.厚生労働省と財務省

まずは、介護給付費の削減を狙う厚生労働省や財務省です。

介護サービス事業所の経営状況を正確に把握することができ、どの報酬を削減すべきか、正確なデータをとることができます。これまでも介護サービス事業所の経営実態調査を行ってきましたが回収率が低く、偏りも大きかったため、正確な情報を反映することができませんでした。

経営状況を丸裸にすることで、報酬削減のターゲットを定めることができるでしょう。

2.介護事業者をターゲットにしたM&A業者

介護サービス事業運営法人の経営状況がわかれば、マーケットで一番喜ぶのは介護事業者をターゲットにしたM&A業者でしょう。経営状況が芳しくない事業者に事業買収の話を持ち掛けることなども増えるでしょう。

あやしいコンサルティング会社なんかも乗っかってくるでしょうね。

小規模事業者にはこういった業者からの電話やFAX、メールが集中的にやってくることも考えられます。

3.求人・求職

介護サービス事業所の大きな問題と言えば今は人材確保。

人件費や給与費の情報も経営状況に含まれます。ということは、実際職員がいくらもらっているのかも丸わかりです。

近所にあるひとりケアマネの事業所管理者。あのケアマネ、いくらもらっているのかしら?調べてみよう。

なんてことも簡単にできてしまいます。事業所単位なので、これを守る方法は今のところありません。年収丸裸です。

実際いくらもらっているのかがわかれば、その事業所のアッパーがどの程度かわかりますし、転職先探しの参考になります。もちろん、人材紹介や転職サイトがその情報を悪用しないとも限りません。

ということで、3つ紹介しましたが、あまり事業所やそこで働く人にとってメリットになりそうな話はありませんね。

でも、これは国で決めた義務です。

GビズIDの登録必須に

GビズIDとは何か?

そしてもうひとつ厄介そうな情報が舞い込んできました。

それは、経営状況の報告のためにGビズIDの登録が義務付けられることです。

・・・と目が点になっている人も多いと思うので、説明します。

マイナンバーカードの法人版のようなイメージで考えてもらうとわかりやすいかと思います。

マイナンバーカードを使って、マイナポータルというサービスを使って、自治体や国などに申請や手続き・情報の照会などができるのですが、それの法人版だと思ってください。

ひとつのID・アカウントを使って、いろいろな行政サービスの申請・手続きができるという仕組みです。

あれ?このサービスって、パスワードなんだっけ?とか、いうことがなくなります。

こちらの紹介動画が参考になるかと思います。

GビズIDって何に使えるの?

事業者からの申請や手続きとして、補助金の申請などに活用できるかと思います。

以前にこのブログで紹介したIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などもこのgビズIDを使って申請することができます。

マイナンバーカードと同様にいろんな行政機関にアクセスができるID。それがGビズIDです。

何に使えるかは下記リンク先で紹介されていますが、国や自治体で既に対応しているところもあります。介護サービス情報公表制度もその中に含まれています。

行政サービス一覧(GビズIDで利用できる省庁・自治体のサービス)

とりあえず、イラっとするのがGビズIDと、gBizID、gかGはっきりしやがれっていうことでしょうか。

実際にGビスIDに登録してみる

法人・個人事業主が登録可能なgBizIDプライム

では、実際にどんな感じに登録できるのかを説明します。自分もやってみました。法人ではなく、個人事業主なのですが、基本的なやり方は同じです。事業主のマイナンバーカードがあれば、オンラインでほんの数分で登録できました。

gBizIDのアカウントは2種類。gBizIDプライムとgBizIDエントリーです。介護サービス情報公表などでも使うのはgBizIDプライムになるので、プライムで登録します。ちなみに、プライムに登録すると、その従業員用にgBizIDメンバーというアカウントを発行することもできます。

gBizIDのアカウントは2種類

ではオンラインで登録してみましょう。

まずはこちらのサイトにアクセスします。

GビズIDオンライン登録申請

マイナンバーカードと、マイナンバーカードを読み取り可能なスマートフォンを用意しておいてください。

GビズID登録手順

登録手順を紹介します。こちらに書いてあるフローの通りに進めました。

GビズIDの登録手順

オンライン登録に進むと、まずはメールアドレスの登録になります。

GビズIDにメールアドレスを登録

事業主のメールアドレスで登録するのがいいかと思います。このメールアドレスがgBizIDプライムのアカウントにログインするために必要になります。

GビズIDプライムのオンライン申請

メールアドレスの登録ができると、今度は事業者情報の入力です。

個人事業主なので、屋号などを入力しなければいけないですが、入力項目は拍子抜けするほど少ないですね。事業所番号とか、インボイス登録番号のようなIDらしきものは何もないです。

登録するのに、ショートメールのメッセージでの認証コードを使います。認証コードを送ってもらうためのスマートフォンの番号、間違えないように登録しましょう。

マイナンバーカードを読み取ります

次はマイナンバーカードで情報を読み取ります。QRコードは伏せています。

QRコードが表示されるので、スマートフォンのカメラを起動してこれにアクセスすると、GビズIDアプリのダウンロードを要求されます。アプリ入れるの面倒だなと思いつつもアプリをインストールします。

アプリをインストールすると、再度このQRコードを読み込むように要求され、カメラを起動しますので、このQRを読み込みます。

その後、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取り、認証します。

ここまでの作業でGビズIDのアカウントが作成ができました。続いて初期設定に入ります。

GビズIDの初期設定

初期設定の手順はこちらです。

GビズIDの初期設定

ショートメールメッセージを使っての初期設定です。

GビズIDは二要素認証が必要なので、パソコンからのログインでもスマートフォンの認証が必要です。

初期設定では、ショートメールメッセージが送信されるので、それを使ってログインします。今後はアプリで二要素認証してログインする形になるので、必ずログインするときは手元にGビズIDアプリをインストールしたスマートフォンを用意しておきましょう。

以上がGビズIDのアカウント登録手順です。

実際にやってみましたが、基本的にはノーストレスで進めることができました。マイナンバーカードのマイナポータルや昔のe-taxの電子申告とかに比べると、比較的簡単に進めたように感じます。

介護サービス情報公表制度にもGビズIDでログインができるようなので、試してみてください。っていっても今メンテナンス中なんですね。

GビズIDで介護サービス情報公表制度にログインする

ということで、デジタル化は進んでいますが、介護サービス事業者が望むデジタル化って、そういうことじゃないですよね。

  • 介護保険の認定申請にどうして毎度市役所まで行かなきゃいけないんですか?
  • 介護保険の認定や負担割合の確認もどうして利用者さんの家まで行かないと確認できないんですか?
  • 主治医の意見書の情報をオンラインで確認することはできないんですか?

国の都合ばかりを押し付けて、事業所にメリットのないデジタル化ばかり進めていく。介護業界いデジタル化に対するアレルギーがあるんじゃなくて、事業所にとってメリットのあるデジタル化をよこさないからでしょう?

そして、ケアプランデータ連携ができたかと思えば利用料を徴収するとか。。。鬼か。

介護事業所が業務改善するためのデジタル化はいくらでもあるはずなので、まずはそこからお願いしたい。。。

まとめ:GビズIDはそんなに心配しなくてもOK

ということで、介護事業者に求められているGビズID登録について解説しました(前置きが長すぎたんじゃない・・・?)

今回実際にアカウント登録してみて感じたのは、そこまで難しくないです。

もちろん、現行の各サービスのアカウントと紐づけるのにまた手順が発生するかと思いますが、そこまで負担を感じるものではないかと思います。

まずは事業主はマイナンバーカードとマイナンバーカードを読み取るためのスマートフォンを用意しておくことが必要ですね。

ただ、マイナンバーカードは持っていない、という人は、めちゃくちゃ登録大変になりそう。なので、マイナンバーカードは意地でも持ちたくない、という介護事業者で事業を今後も継続していく予定の方は早めにGビズID開設の手続きをしておきましょう。

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