社会福祉法人の財務諸表はインターネットで公開義務化へ。

年末も押し迫ってきているところですが、みなさんいかがお過ごしでしょう。
まだこちらはオフィスの整理もままならない状況ですが・・・。
さて、厚生労働省が行っている「社会福祉法人の在り方に関する検討会」というものが開催されているのですが、
そこで、財務諸表の公開について、こんな議論が行われているので報告します。

第3回社会福祉法人の在り方に関する検討会

 また、下の2つですけれども、平成24年度の財務諸表について公表を行うよう法人に周知指導し、その取り組み状況を調査し、規制改革会議に報告する。所轄庁に対しても同じように法人の平成24年度の財務諸表についてホームページで公表を行うよう協力を要請し、それによる所轄庁の取り組み状況についても調査して規制改革会議に報告するといったことが規制改革実施計画で求められていたところです。

 今申し上げましたように、規制改革会議において平成24年度の財務諸表の公表状況について宿題を負っていたわけですが、その結果を取りまとめて先日報告してきております。その内容が次の15ページの資料でございます。

 平成25年5月の規制改革会議の要請を受けて、同年5月末に法人と所轄庁に対して平成24年度の財務諸表を公表するように厚生労働省から協力要請をしました。その結果、7月末時点での公表状況を厚生労働省に報告していただくように依頼しまして、全国1万9,810の社会福祉法人のうち有効回答1万9,012法人について集計した結果がこの下の2つの円グラフでございます。

 まず、1つ目の法人の公表状況です。まず、ホームページ、広報誌、要するに公表のツール、媒体があるかどうかというのを見たときに、全体の80%の法人でいずれかの媒体はあった。その中で、公表した法人、公表していない法人を見ると、ホームページ、広報誌、いずれかある中で、公表したのが7,962法人、全体の52.4%になっております。その内訳が右の2つの円グラフです。

 まず、ホームページで公表したというところ。ホームページがあったのは全体の法人の66.7%ですけれども、その中で公表したのが38.5%。さらに右にまいりまして、広報誌を持っているところですが、広報誌があったのは全体の法人の52.7%、その中で公表したのが53.1%という結果になっております。

 さらに下の2つ目の所轄庁での公表状況にいきます。所轄庁での公表状況については、全体の10%、82の所轄庁が公表、762の所轄庁が未公表といった結果になっております。未掲載所轄庁の主な未掲載理由としては、ホームページのシステム構築に時間を要する、また法人の了承が得られなかったといったことが聞かれたところです。

16ページは、先ほどの資料の内訳でございます。まず、全体の法人数の中でホームページがある法人を左のほうに記載しております。こちらの表の見方ですけれども、列、横が事業体別に分けた分け方でございまして、下の国、都道府県など、縦の列、行のほうが所轄庁別となっております。右のほうのホームページで公表している法人数と割合をご覧いただきたいと思いますが、ホームページがある法人の中で今回公表した法人の数とその割合をこちらで分析しております。事業体別で見ますと、比較的小規模だと思われる保育所の公表の率が低くなっているということが見受けられます。また、所轄庁別を見ますと、これも国から市に規模が小さくなるにつれて、その所轄の範囲で公表しているところが少なくなっているという現状が見られます。

  まず、18ページのほうですけれども、考え方として、

○ 社会福祉法人は、地方公共団体に代わって社会福祉事業を実施している側面もあり、補助金等が交付され、税制優遇も受ける公益性の高い法人であり、国民に対して経営状態を公表し、経営の透明性を確保していくことは、その責務である。

○ また、社会福祉法人の情報は、福祉サービスの利用を希望する者にとって、サービスを選択する上で重要な判断材料となる。

こういった考え方から、対応方針としては以下のようにしていきたいと考えております。

 対応方針のところですけれども、

1 閲覧請求等の条件を見直した上で、社会福祉法人に対し財務諸表を電子データ化してインターネット上で公表することを義務化(制度改正)

2 社会福祉法人に対し所轄庁への現況報告書(付属資料である財務諸表を含む。)の提出を電子データで行わせることを義務化。

この2つをした上で、ホームページが存在しない法人とか未公表の法人が存在することも想定されるので、それらの法人については、所轄庁への現況報告により所轄庁に提出された電子データを使って当該法人の財務諸表を所轄庁がホームページで公表するといった段取りで財務諸表の公表をしっかり進めていくべきではないかと考えております。

ということで、社会福祉法人のうち、ホームページを持っているのが全体で66.7%、3分の2です。
つまり、三分の一の社会福祉法人はホームページを持っていないということです。
財務諸表をインターネット上で閲覧可能にすることで、経営の透明化・健全化を促進するというのがねらいなのですが、
それを公開するためのホームページの内法人が三分の一もあるということで、
WAMNETなどに全法人の財務諸表を掲載できるシステムを設置するうんぬんという話にもなっています。
じゃあ、財務諸表が閲覧可能な状態にあれば、それで社会福祉法人としての情報公開は十分なのか、経営の透明性ははかれるのか、というと、
そういうわけではないですよね。
社会福祉法人がどのようにして地域社会に貢献をしているのか、
どういった方針で地域の課題解決に向き合い、どのような活動をしてきたか。
それらを公開していくことが求められるので、
ホームページが存在しない・ホームページで公表できない、という事情がどういったものかはわかりませんが、
閲覧可能な状態に公開できるツールを確保しておくこと、 
そこをもう一歩踏み込んだ方針を出してもらいたいですね。

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